赤城の座繰り糸


11月のある晴れた日、工房から約10分の富士見村の製糸商 石田明雄さんを訪ねました。
着尺を織る人には有名な赤城の座繰り糸、私も話には聞いていたのですが、出会うのは初めてでした。石田さんに見せていただいた、日の光にふわりと透けるように輝く糸、それが今も赤城のおばちゃんたちが繭を煮ながら昔ながらの道具で丹念に手引きしている生糸でした。野良仕事の合間に、夜なべ仕事に、商品にならないようなくず繭を家族の着る着物を作るために女たちは寝る間を惜しんで糸にしたそうです。昔はこの辺のどこのうちでもおこなわれていたこの営みも、今ではわずか三十人ほどの女性たちに受け継がれているのみ‥それも、ほとんどの方が高齢 しかし石田さんはけっして悲観的ではありませんでした。石田さんに案内されて訪ねたある女性の仕事場、家の前の小さな仕事部屋で慣れた手つきで明るくおしゃべりをしながら軽やかに糸を引いている姿を見て、赤城の女の人の逞しさにふれたような気がしました。彼女たちがいるかぎりまだまだ大丈夫、そして彼女もそうだったように、きっと彼女を見て、彼女に続く人がきっといる そんな気がしました。石田さんは若いころは東京で過ごし、糸商のお父さんの後を継ぐ為に群馬にもどってこられて以来、この仕事を営んでおられます。引く人によって太さも風合いも異なる糸、同じ人が引いても決してまったく同じ糸にはならない世界ただひとつの出会いの糸、そんな糸と作り手との出会いをプロデュースするのが石田さんの仕事です。そのつながりの間に私も入って、もっともっと この赤城の貴重な宝物を多くの人に紹介していきたいと思います。

座繰り糸を持って繭の山の前に立つ石田さん




赤城の座繰り糸‥

特徴…  一番の特徴はふんわりと弾力があって軽いこと。
座繰りは糸を引っ張らない。だから糸を傷めず、
繭本来の力が宿る。そこに引き手の個性も加わって、
艶やかで表情豊かな糸が生まれます。

座繰り糸には本糸と節糸があり、本糸は上等の均一な糸、
 節糸というのは、その名の通り「節」のある糸です。
節糸はできた布に独特の風合いが出て素敵です。ぜひお試しください。



着尺用・帯用 250中〜500中くらいのもの
ショール用 500中〜1200中くらいのもの 

価格は 未精錬のもので¥2,800〜¥3,200

原糸… 座繰り機で引いたままの軽く撚りのかかった糸
  (精錬すると広がります。横糸向き)

からみ… 原糸を極細の糸でコイル状に巻いた糸 赤城の座繰り糸は節が特徴なので、この節を生かして毛羽立ちを押さえるにはからみに加工したほうが扱いやすい。

二方、三方… 二方は原糸を二本、三方は三本撚りあわせた糸。

赤城の座繰り糸は、糸見本がご用意できないのですが、お作りになりたいものをお聞きした上で、糸商さんと相談して適した糸をご紹介するという形になります。まずはお電話かメールにてお問い合わせくださいませ。

  
未精錬 (からみ)        

  
精錬済み (からみ) 



できた糸をカセに取ります。 昔ながらの方法で糸を引く様子。
艶のある素敵な糸が出来ました。 いろいろアレンジしてみるのもいいですね。




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